須原スキー場雪崩講習会 2000/02/19

アウトドアショップWEST主催の雪崩講習会に参加してみました。

半日でのスピード講習なので、学説的な講習はなくポイントを絞った実地講習のみでした。

スキー場の頂上脇にある広場で、まずはビーコンの使い方と特性を知るということから始めます。

「ビーコン?何だそれ?」という方のために簡単に解説しますが、457kHzの電波が出る電波発信機と受信機が合わさったもので、ツアー中は全員が身に付けて常に電波を発信させておきます。

雪崩などにメンバーが巻き込まれたときは、雪上に残った人たちはビーコンを受信に切り替え、雪に埋まった人のビーコンからの発信電波をたよりに埋まった場所を特定し、掘り出すために使用します。

頂上からコース外の広場に出て講習です

ビーコンが各自に手渡されました

 

一通り説明が終り、今度は雪原に発信状態にしたビーコンを埋めておくので探してみましょうとの実習になりました。

雪に埋まった発信状態のビーコンは一定間隔でピーピーという信号を発信しています。その信号を各自が手にした受信状態のビーコンで探し出します。受信状態にすると音で聴覚的に、発光ダイオードで視覚的に受信信号の強度を知る事ができました。40mほど離れた場所に埋めておいたビーコン捜索を全員で開始です。

まずは、ビーコンの受信感度を最大にして受信音が大きくなる方向を探しながら前へと進みます。埋めてあるビーコンに近づくと、LEDのゲージが振り切れ、受信音も大きくなるので受信感度をワンランク下げ、また捜索を開始します。さらに近づくとLEDのゲージが振り切れるので、受信感度を最低に落とし、埋まっているビーコンの場所の特定が完了しました。

「ここだっ!」と思って掘ってみますが、埋めてあるはずのビーコンが見つかりません。ここにあるはずというところに全員集まり探しますがやはり見つかりません。インストラクターの方がここだと思う場所のあたりで地面と平行の状態でビーコンを左右に振り最も強く受信した所で今度は前後に振り、いとも簡単に埋没ビーコンを発見してくれました。なるほど最後のツメにテクニックがあるのだなと思いました。

こんなことを5回ほど繰り返し、ようやく5分前後で埋没ビーコンを見つけ出せるようになりました。

この後は、「では、埋めるビーコンを2つにしてみましょう」とレベルアップしたビーコン探しに移ります。さすがに発信源が2個あるとピーピピピーピピと受信音が合わさりうるさいです。1個目のビーコンを発見したら発信電波を止め2個目の捜索に移ります。2個目は一つの電波の受信だけなので、結構楽に探し出せました。

なんでも前回の講習会では電波の出ていない状態のビーコンを雪原に埋めてしまい、埋めた本人も場所の見当がつかなくなり、1時間以上あちこち掘りながら探してようやく見つけたとのことです。こんな話しを聞くと雪原というのはとても捜索の難しい場所なんだなと思いました。

埋めてあるビーコンの捜索です。音と光が強くなる方向を探します。

見つけたっ!と思ってもそこにビーコンはありません

インストラクターの方がテクニックで場所を特定しました

 

ビーコンの扱いにも慣れた頃、埋没体験と弱層テストが同時進行で行われました。

埋没体験用の穴を掘るのと同時に、雪の層を観察してテストするとの予定です。しかし、雪が一気に積もったため雪を掘った面に地層のようなものが一切ありませんでした。「これで弱層テストをしてもなぁ〜」とのことで、解説のみで終わってしまいました。

埋没体験は顔の前に空洞を作り、手には雪上に突き出るゾンデ棒を握ってもらいます。「苦しかったら、この棒を動かして伝えてくださいね」との話しの後で早速雪をみんなでかけはじめました。

30cmほどの厚さになったころインストラクターの方が埋没者のいる雪の上に乗りあげます。するととたんに雪上に突き出たゾンデ棒がヒョコヒョコと動き「苦しい!やめろ!」の合図を送ってきました。相当苦しいようです。

今度は雪の上にいる全員でゾンデ棒で人間をつついたときの感触を確かめてみるとのことになりました。

雪の中に埋まっている人に向かって「ゾンデをこれから差しま〜すっ」と一言掛けて、ズブッ、ズブッと抜き差ししてみました。ゾンデ棒が体に当たると「何か刺してはいけない妙な柔らかいようなものを刺してしまった」という感覚が伝わってきました。

埋まってから5分ほどたったので掘り起こしにかかります。上半身が見えたあたりで埋まっている本人が動こうとしたのですが、足に乗っている30cmほどの雪で下半身が全く動かず、この状態では自力で這い出すこともできないようです。「雪を馬鹿にしてはいけないのだ」と強く思いました。スノーフィールドで単独行をされる方もいらっしゃると思いますが、ほんのちょっとの埋没でも一人では動けなくなることもあるようです。

掘り出された埋没者に話しを聞いてみると、たった30cmの雪でも「暗かった、息が苦しかった、身動きが全く取れなかった、早く出して欲しかった」と極限の状態のようです。

一般に埋まった人は5分以内に探し出すのがベストで、どんなに長くても15分以内、それを過ぎると発見しても生存する確率は急激に下がるとのことです。たとえ助かったとしても低体温症を起こしかねない環境なので多くのことを知っておかねばならないように感じます。

スピード講習でしたが一連の体験を通してみて、ビーコンの有用性や雪の中の不自由さ、その他にも色々なことに重みを感じました。

新潟県内では冬に屋根から落ちてきた雪に埋まったり、雪下ろしで屋根から落下して雪の中に埋まったりして亡くなられた方がいらっしゃいました。日常生活の中にも潜んでいる危険なので、何が危ないのかを事前に知っておくためにも重要な講習会だなと思います。

また、「雪崩にあったらどうするか」ということよりも「危険な場所には近づかない」ことを考えることが重要だなとも感じます。

やはり、私には合っているのは、ゆるい起伏の場所だけでのネイチャースキーなんでしょうか?

これから雪をかけて埋めます

ゆっくりと雪をかけ始めます。黄と青の棒が雪上と通信するためのゾンデ棒。これが動くとSOSの合図です。

ゾンデで突いて感触の違いを確かめます

上半身が出ても足が全く動かず騒いでいます

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